Contents
本当は怖い借入金
事業を行ううえでなくてはならない資金。
自己資金で賄えればベストですが、多くの場合は金融機関からの借り入れを行うこととなると思います。


事業をスタートするまでの期間の短縮という意味合いでも、銀行からの融資を利用することは有効な手段だと思います。適切に借入を行って投資を行い、それ以上のリターンを取っていくことで事業を早期に拡大していくことができます。


自身の事業計画のイメージを固める意味でも、創業計画書などの書類を作ることは大きなメリットにもなると思います。借入をするしないに関わらず、本来はきっちり計画を立てていく必要があると思います。
借入金とキャッシュフロー
事業を行ううえでの借入金は、事業を行ううえで不可欠なものであり、借入金を活用して先行した投資を行い、事業拡大のスピードアップを図ることができる非常に重要なものです。
しかし、過大な借入や投資をしてしまうと、非常に危険な一面もあります。
設備資金として借入を行った場合、多くの場合設備に投資を行うこととなります。
運転資金を手元に残すとしても、大部分はキャッシュアウトすることとなります。
その状態で返済がスタートすることになりますので、売上から利益を差し引き、さらに返済の為のキャッシュを確保していく必要があります。
返済額が過大で返済にキャッシュが回らない
売上が予定通り上がらなかったり、思わぬ費用がかかってしまったり。事業を運営していると色々と起こります。
どうしても返済が難しくなってしまった場合は、銀行に相談して「リスケ」(一定期間元本の返済を猶予し利息のみを支払ったり、返済期間を延ばして月々の返済額を減らしてもらうこと)をしてもらい切り抜けることとなります。
しかし、これをやってしまうと信用評価が下がってしまう為、新たな借り入れを行うことが難しくなる為、大きなリスクが伴います。
キャッシュがギリギリなのに納税がのしかかる
こちらは盲点になりがちですので、注意が必要です。借入金を借りた時のキャッシュインと、借入金を返済した時のキャッシュアウトはB/S(貸借対照表)での動きとなります。
借入でお金を受け取っても利益にならない代わりに、返済を行っても費用にはならないんです。
つまり、一年間の収支が以下のようになった場合。
【損益計算書】
売上 1000万円
費用 900万円
利益 100万円
損益計算書上は儲かっているように見えますよね。
でも月々10万円の銀行への返済があると。
【キャッシュフロー】
現金売上 1000万円
現金費用 900万円
現金返済 120万円
現金収支 ▲20万円



このようなことが起こってしまうので、計画を立てる際には収支だけでなく返済に充てるキャッシュや税金も見越した計画を立てないと、決算の時に慌ててお金を集めいないといけなくなってしまいます。
中小企業と借入金の関係
ここまでお話してきたように、借入金は疑似資本と言われることもあります。
新たに事業を始める人にとって借入金は元手資金を調達するうえで非常に重要な意味を持ちます。
しかし、現実には、実績も何もない事業者に対して担保なしにお金を借りるのは難しく、多くの場合代表者の保証や保証協会に入ってもらう必要が出てきます。
法律上、株式会社には出資額以上の責任を負わない、有限責任となっていますが、なかなか個人資産と法人を切り分けて運営するのが難しい現状があります。
借入はうまく使えば非常に有効な武器になりますが、使い方を誤れば身を亡ぼす非常に怖いものでもあります。
なかなか思い通りに売上も上がってくれないし、予定外の費用だってかさんでしまうものです。
場合によっては、金融機関や税理士、コンサルタントなどの専門家も活用して、
余裕をもった事業を展開して頂ければと思います。
借入についてはこちらの記事でも解説しています。
-
-
借入金とは?借入金の怖さやメリットを解説