キャッシュフローって何?
キャッシュフローとは、ひとことで言えば資金繰りのことです。
利益を計算するのが決算書であるとすると、現金の収入、支出の流れをキャッシュフローと言います。
事業を行っていると、日々の売上や費用を会計ソフトに入力をしていきますよね。
いざ決算が出来上がってみると、実際に経営者がお金を動かしている感覚と損益がズレることがよくあります。

キャッシュフローの計算の仕方を検索してみると、「キャッシュフロー計算書」という以下のような表が出てきます。
営業活動によるキャッシュフロー
税引き前当期純利益 ×××
減価償却費 ×××
貸倒引当金の増減額 ×××
受取利息及び受取配当金 ×××
支払利息 ×××
棚卸資産の増減額 ×××
仕入債務の増減額 ×××
その他資産の増減額 ×××
その他負債の増減額 ×××
小計 ×××
利息及び配当金の受取額 ×××
利息の支払い額 ×××
法人税等の支払額 ×××
営業活動によるキャッシュフロー ×××
これはキャッシュフロー計算書の間接法による計算ですが、これを見ても意味がわかりませんよね?
実際、自分が学習した時も表の足し引き調整の意味がわかりませんでしたし、簿記1級の範囲だから難しいとか色々と言われていたので、諦めてスルーしたことがあります。
でも安心してください。
あまり難しく考える必要はなく、この表で計算をしていることは、
損益計算書上(P/L)上の利益と、実際のお金の動きの時間差を埋める作業です。
損益計算書とキャッシュフローにズレが生じる理由


社外の人にとって一番知りたい情報は、1年間の決算期間の中でいくら売上が上がり、うちいくらの費用がかかり、利益がいくら残ったのかですよね。
全て現金で取引を行っていればこんな調整を行う必要はありませんが、多くの企業では信用取引という形態を取っています。
例えば、こんな取引があったとしましょう。
発注(5/1) → 商品を納品(5/10) → 集計・締め日(5/31) → 料金の受取(6/30)
これだと、売上を立てるのは5月1日になりますが、実際にお金が入ってくるのは6月30日になります。
どちらかに基準を設けないと、1年間の利益が正確に計算が出来なくなりますよね。
もっと言えば、取引相手の財務状況が悪いと、納品したけど払ってもらえないことだってあります。
会計や税務上では、取引が発生した時点で売上を立てて、未回収のお金は「売掛金」という形で貸借対照表に資産として記録し、実際に現金が回収できた時点で「現金」に振り替えるという処理を行います。
キャッシュフロー計算書のよくわからない〇〇の増減額という項目は、この時差を埋めて、実際の現金の流れを把握する為のものなのです。
特に税金の計算においては売上とその売上にかかった仕入は同じタイミングに計上することが求められます。
例えば、100万円の売上があったとして、仕入れ50万円を先に期末に立てて、売上100万円を次の期首に立てると、前の期の利益を減らすことができる。つまり税金が減りますよね?税務調査があった際には、利益操作だとよく否認されやすい項目になります。
キャッシュフロー計算書の活用
キャッシュフローを管理する一番の目的は、資金繰りを考えていく為です。
会計書類にキャッシュフロー計算書というものがありますので、何を意味しているのか見ていきましょう。
営業活動によるキャッシュフロー
本業で利益が出ていれば通常はプラスになる項目です。利益が出ているのにここがマイナスになっていると、売上を立ててから入金されるまでの期間が長すぎたり、回収が出来ていないなどの問題点がある可能性があります。
投資活動によるキャッシュフロー
この項目は設備投資や有価証券などの投資を行った際の現金の出入りを表します。
設備投資などが適切に行われていればマイナスになりますので、ここの数字はマイナスになっていても問題はありません。逆に、大きくプラスになっている場合は、固定資産の売却等があったと考えられるので、それが適切であったかどうかを見ていくこととなります。
財務活動によるキャッシュフロー
借入金のによる収入、返済による支出、株式の発行による収入、配当金の支払いによる支出などが該当します。こちらも、財務活動によるキャッシュフローが増えるということは、借入を行ったり新たに出資をしてもらった等が考えられるので、プラスになっている場合は何が起こったのか確認をしていくこととなります。順調に借入金を返済していたり、配当を支払っている場合はマイナスになります。
フリーキャッシュフローとは?
フリーキャッシュフローとは、名前の通り会社が自由に使えるお金のことを表します。
損益計算書や貸借対照表を見ても、実際に使っていいお金がいくらあるのかってよくわからないですよね?
決算書の数字からどうすれば自由に使えるお金の額を割り出せるでしょうか。
フリーキャッシュフローは一般的に以下のような式で表されます。
FCF=①税引後営業利益+②減価償却費ー③設備投資ー③賞味運転資本の増減額

①金融費用の影響を受けないよう営業利益をベースに考え、営業利益から法人税額をマイナスします。
②減価償却費は、費用項目になっていますが、実際にお金は出ていかなので足し戻します。
③払ってしまった設備投資分は引きます。
④未回収や未払い等の時間の誤差を差し引いたところで、会社が自由に使えるお金が割り出せます。
まとめ
計算の過程を見てしまうと、足し引きのルールや〇〇の増減額などの表現のややこしさから難しく感じてしまうかと思います。
しかし実際に導き出したいのは期間事業を行って現金がいくら動いたのか。そして自由に使えるお金はいくらあるのか。それだけです。
外部の利害関係者に期中の損益を報告するためのものが損益計算書。
外部の利害関係者に会社の財産状況を報告する為のものが貸借対照表。
社内で資金繰りを把握するためにお金の出入りに修正する為のものがキャッシュフロー計算書。
そして、会社が今自由に使えるお金がいくらあるのか把握する為のものがフリーキャッシュフロー。
誰の為のものなのか、何を知りたいのか。
判断をする為にデータの切り口を変えているだけであり、見ているものは会社で社長さんや社員さんが1年間頑張った結果を集計した数字です。
ややこしい計算過程や帳票は置いておいて、知りたい情報を知る為に最適な形に加工しているだけなんだ。
そんな観点で財務諸表を見てもらえると、少し身近に感じてもらえるのではないかと思います。