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会社員として働いている時は社会保険や源泉所得税を会社が計算してくれて、年末調整で自分の年間所得を申告する必要すらありません。
給料から色々引かれているなと思うことはあっても、裏側で会社がどんな手続きをしているかなんてあまり意識しないと思います。
フリーランスとして独立したり、会社を設立するとそれらの手続きをすべて自分で行う必要があり、様々な手続きを行います。
ここでは、フリーランスとして独立した時や、会社を設立した時、税務署に対してやっておくべき3つの届け出について触れていきたいと思います。
届出を行うことでメリットが得られます

届出と聞くとなんだか面倒な気持ちになってついつい後回しにしてしまいますよね。
しかしながら、個人事業主や中小事業者にとっては、優遇措置がたくさん用意されていて届出や申請を行うことによって優遇のメリットを享受できるなんてものがたくさんあります。
せっかくある優遇制度の適用を受ける為に、面倒ですがしっかり確認をしていく必要があります。
独立した時に税務署に対して行う3つの届け出
独立のお手伝いをする際には、絶対に以下の4つの届け出を出すことをお勧めしています。
②青色申告承認の届け出
③給与支払事業所等の開設届出書
④源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
開業届(法人設立届出書)
開業したことや、法人が設立されたことを税務署に届け出る書類になります。これを届け出ることで税務署からのお知らせや税務関係の書類が届くようになります。
税務署からのお知らせや納付書等も送られてきますので、必ず行う必要があります。
申請時には定款のコピー登記簿謄本、株主名簿、設立時の貸借対照表などが必要になってきます。
青色申告承認の届け出
青色申告とは、簡単に言うと複式簿記の原則に則り帳簿をきちんとつけて税務署に申告を行うことで税制上のメリットを得られる制度です。
代表的なのは以下のような内容です。
・所得から最高65万円の控除が受けられる(個人のみ)
・配偶者や親族に給与を出して必要経費として計上できる(個人のみ)
・貸倒引当金の設定
・純損失の繰り越しと繰戻し(損失が出た場合に、他の事業年度と損益通算ができる)
・少額償却資産の特例(30万円未満即時償却)
・減価償却資産の特別償却・税額控除など
上記のような書き方だと法人はあまりメリットがないような印象ですが、実務上重要な部分になります。
1期目から黒字で終われる方の方が少ないので、繰越欠損金は実務上非常によく使います。
例えば、1期目に100万円の損失を出した場合それを翌年以降に繰り越すことができます。
2期目に50万円の黒字になった場合、青色申告を行っていれば前年の赤字と通算して納税はなくなりますが、繰越欠損金を使えないと納税が発生してしまいます。
申請には条件があって、個人は開業後2か月以内、法人は設立から3か月以内に税務署に届出を出さなければ適用を受けられません。
独立した初年度の決算が近づいてきてから税理士等に相談をした場合などに提出していないことが時々みられますのでご注意ください。
給与支払事務所等の開設届出書
給与支払事業者等の開設届出書は、役員や従業員に給与などを支払う際に届出が必要になります。
会社でも個人でも従業員を雇う場合は源泉所得税などを預かり、代わりに納付する必要が出てきますので、それらの業務を行うことを税務署に通知するためのものです。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
役員報酬や従業員の給与を支払った際には、原則支払った翌月の10日までに源泉所得税を納付しなければいけません。
しかしながら、小規模な事業所では事務負担が大きい為、半年に1度納付を行えばよいという特例があります。
下期7月~12月の源泉所得税の納付期限 1月20日
この特例は、常時使用する従業員が10名未満の会社でのみ受けられます。
当初から10名以上社員がいるような場合は提出の必要がありません。
納期の特例を活用していなければ、源泉所得税の納付は毎月必要になるうえに、期限を1日でも過ぎると延滞税がかかります。
税理士報酬や弁護士報酬にも適応されますので、10名未満の事業所であれば活用するメリットはあるかと思います。
まとめ
ここでは4つの届出を例にお話しをしましたが、他にも申請をすることででメリットを受けられる制度がたくさんあります。
たかが申請、されど申請。
面倒ではありますが、申請するだけでメリットが得られることはやっておくべきだと思います。
期間や期限が決まっているものも多くありますので、インターネットで調べたり専門家に相談することでどんどん活用をしていってほしいと思います。